top of page

STORY

7年前、ひとけのない海辺。
砂浜の上でふたりの裸の男が激しく互いを求めあっている。
男たちの名は武(伊神忠聡)と一義(折笠慎也)。
「一義…激しい…」武が喘ぎ声を漏らす。
「ずっと覚えていたいから。向こうでも忘れないように」一義が囁く。

「いつか一緒に店やろうな」一義の言葉にうなずく武。
その言葉を残し一義は、イタリアへと料理修行の旅に出た。

海辺の街で妹・茉凛(秋乃ゆに)とトラットリアを営む武。
オーナーである父・幾多郎(近藤善揮)は病に倒れ、母・久海(久保亜津子)の介護が必要であった。
店は常連客の清順(尾倉ケント)や沢山の客たちで賑わっている。
茉凛は交際相手の子を身篭っており、近々結婚式を挙げることになっていた。
その相手は、7年前イタリアへ旅立った一義の弟・優生(長野こうへい)であった。

 

早朝、市場へ仕入れに出かけた帰り道、茉凛が武に言う。
「一義さん、イタリアから来てくれたって」

7年ぶりの再会を果たした武と一義。
静かに、しかし熱く再会を喜ぶ一義に対し、
武はどこかよそよそしい。
車中で一義からキスを迫られても、武は拒んでしまう。
「お前が必要だ」一義は武に告げる。
一緒にイタリアへ行こうと迫る一義に、武は…。

夜。
一義を乗せて走る武の車の前に、突然何ものかが飛び出してきた。
筋肉質で太い手足、よくやけた肌、濃いひげ。
そしてびしょ濡れの、奇妙な大男・彰(後藤剛範)。
その大男は車から降りてきた武たちに一言「腹が…減った」
とだけ呟くと、その場に倒れてしまう…。

bottom of page